2026年8月31日
CBTのQB3000問、どの科目から回す?暗記が苦手な医学生の順番設計
筆者紹介
きおくま開発者
医学部5年生。暗記アプリ「きおくま」を開発しています。受験から医学部までの経験をもとに、暗記や勉強法について日々情報を発信中。
暗記から、理解へ。
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医学部4年生が最初にぶつかる大きな山、それがCBTです。出題範囲は1〜4年で習ったこと全部、QBは約3000問。「どこから手をつければいいのかわからない」「量が多すぎて回しきれない」——ほとんどの人がここで一度つまずきます。
この記事では、暗記が得意なわけではない私が実際に試して「これは効いた / これは無駄だった」と感じたことを、科目の優先順位とスケジュールの形に落とし込んで共有します。要領よく最短で合格ラインに乗せたい4年生は、ぜひ参考にしてください。
いつ始めれば間に合うのか
結論から言うと、本番の3〜4ヶ月前に始めれば多くの人は間に合います。ただしこれは「QBを周辺知識まで理解しながら3周する」ことを前提にした数字です。
QBは約3000問。仮に3ヶ月で3周すると、1日あたり約100問。問題を解くだけなら頑張れば回せますが、解説を読み込んで周辺知識まで固めようとすると、この量は普通に消化不良を起こします。
配分としては、1周目に一番時間がかかります。私の感覚では全体の半分近くを1周目に使い、2周目でようやく速度が出て、3周目は間違えた問題と忘れそうな問題だけを拾う——という進み方でした。1周目が遅いこと自体は問題ではなく、理解を作らないまま進んでしまうことのほうが問題です。
だからこそ大事なのは「全部を完璧にやる」ことではなく、
「何から手をつけて、何を忘れないうちに復習するか」
という戦略です。総量で殴るのではなく、順番と復習の設計で勝ちにいきます。
出だしは循環器・内分泌代謝・腎臓の3つ
私のおすすめは、メジャー科目のうち「全身の理解につながる総論的な分野」から始めることです。具体的には、循環器・内分泌・代謝・腎臓の3つ。
この3つが土台になる理由
身体全体の理解につながるからです。たとえば循環器の心不全を理解しておくと、他分野の病態を読んだときに「これは循環不全が背景にあるな」とつながる。1分野を深く理解することが、他分野の理解コストを下げてくれるんです。
内分泌・代謝はホルモンのフィードバックという一本の軸で他科の症状まで説明がつきますし、腎臓は電解質と酸塩基平衡を押さえておくと後の内科も救急も読みやすくなる。あとから何度も参照する土台の分野です。
暗記が苦手な人ほど、いきなり1周目を高速で回しても2周目でまた同じ時間がかかって一生終わりません。なので「1周目に入る前の準備運動」として、この3分野を先に固めておくのがおすすめです。
神経に食われる時間を見誤らない
循環器・内分泌代謝・腎臓を理解していても、残りのメジャーは思ったより時間がかかります。
特に神経は想定の4倍は覚悟してください。解剖と症状の対応を入れるところから始まるので、理解にも復習にも時間を持っていかれます。ただし配点がそのぶん跳ねるわけでもないので、どこかで「ここから先は深追いしない」と線を引く判断も必要です。全部やろうとして他の科目が止まるのが一番まずい。
小児と産婦は得点源にできる
小児は標準的な難易度。語呂で乗り切れる部分も多いです。
産婦人科は、QBの頻出問題と「まとめの表」が頭に入っていれば、
「この症状 + この症状 + この所見 = この病気」
というパターンで解けるようになります。意外と勉強しやすい分野なので、ここで得点を稼ぎましょう。
マイナーは総論の上に肉付けするだけ
残りのマイナーは、「この病態が出たらこれ」というパターンマッチで解ける問題が多めです。総論の理解が固まっていれば、マイナーはそこに肉付けする感覚で回せます。逆に言えば、総論を飛ばしてマイナーから入ると、丸暗記する項目だけが増えて一番しんどい入り方になります。
公衆衛生こそ早めに手をつける
QBの問題数が多いので後回しにしがちですが、実は意外とすぐ終わります。
序盤は計算問題が多くて重いですが、後半はサクサク進む構成。他科目と並行で少しずつ進めるのがおすすめです。進捗バーが伸びるとメンタルもリセットされるので、モチベ維持の意味でも早めの着手が効きます。
基礎医学は「忘れてもいい」から最後に回す
ここ、勘違いしている人が多いポイントです。「基礎だから最初にやろう」「どうせ忘れるんだから早めに全部覚えてしまおう」——その感覚で最初に手をつけるのは、正直おすすめしません。
特にQBの薬理と病理はかなり難しい。私は薬理は簡単な部分だけやって、難所は捨てました。病理は臨床の病態をある程度理解してから取り組んだ方が圧倒的に効率がいいです。最初にやると意味不明で時間を溶かします。
もちろん、十分に時間がある人や、ちゃんと長期記憶に繋げたいという人には、先にやっても全然いいと思います。ただ「とりあえず受かればいい」という人なら、基礎は最後に取っておいてください。メジャーに比べて配点が少なすぎる、量が少ないので、後から詰めるほうが効率がいいです。
発想を逆にするといいと思います。「忘れてしまうから最初にやろう」ではなく、「忘れてもいいように最後にやろう」。
とはいえ、直前期の1週間で全部詰めるのはさすがに無理があります。おすすめは、週に1日くらい基礎の時間を取ってちょくちょく進めておいて、最後の週の少し前に無理やり頭に叩き込む。そして本番前に軽く見返す。それくらいで十分です。
基礎なんて忘れても大丈夫ですからね。点数を決めるのは基本的にメジャー科目——少なくとも、基礎ではありません。
本当の勝負は「忘れない仕組み」をどう作るか
科目の順番を決めても、最大の敵は残ります。「1周目に覚えたことを2周目には忘れている」問題です。
QBは約3000問。1周目を終えて2周目に入る頃には、最初に解いた問題はほぼ忘れています。私は復習管理アプリを使っていましたが、終盤になると1日の復習カードが300枚超。これがまた地獄でした。
それでも、放置するよりはずっとマシでした。復習が溜まるのは、裏を返せば「本来忘れていたはずの知識が可視化されている」ということだからです。何も管理しないと、忘れたことにすら気づかないまま本番を迎えます。
仕組み化のコツは2つだと思っています。ひとつは復習のタイミングを自分の意志で決めないこと。もうひとつはカードを作る手間を限界まで削ること。QBを解きながら「これは忘れるな」と思った問題を、その場でスクショなり一行なりで放り込んでおく。凝りはじめると教材を作るのが目的になって勉強が進みません。
つまりCBTは、暗記の総量勝負ではなく「忘れない仕組みをどう作るか」の勝負なんです。忘却曲線に乗せて、復習すべきタイミングで自動的に出てくる状態さえ作れれば、暗記が苦手でも合格ラインに乗ります。
まとめ:この記事の結論5つ
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 1.3〜4ヶ月前から、QBを周辺知識まで理解しながら回す前提で計画する
- 2.最初はメジャーの総論(循環器・内分泌代謝・腎臓)から。全身の理解コストが下がる
- 3.神経は想定の4倍かかる覚悟で、深追いしすぎない
- 4.基礎医学は後回し、公衆衛生は早めに着手
- 5.そして何より、忘却曲線に乗せた復習を「仕組み化」する
CBTは暗記の総量ではなく、忘れない仕組みで決まります。
CBTを乗り越えれば、その先には楽しい休みと臨床実習が待っています。頑張ってください。




